Daily life in Tokyo

日々の日常と、好きなものについての文章と写真での記録

辻邦生 雪ですべったラム

f:id:rouje:20170630120330j:plain辻邦生さんの「生きて愛するために」の中のエッセイ、雪ですべったラムの一節も好きです。チャールズ・ラムの随筆も読みたくなりました。

こうして同じ一日が実に多くの時間の顔に飾られているのに気づくと、単調な仕事にも、生命の横糸が織りこまれてゆくのが見える。チャールズ・ラムは生涯東インド会社に勤めて帳簿をつけていた。その彼がこう書いている。「太陽、空、微風、淋しい散歩道、夏休み、野の緑、肉や魚の美味い汁、客人、朗らかな盃、蠟燭の火、炉辺の談話、罪のない見栄、冗談、皮肉という奴ーーーこれらのものが生命と共に消えるのでしょうか」 

 この一節を読んで私は、はっとしました。

これらのこの世界の愛するものは、今のこの世界のもので、全てがこの人生を彩るための大事なものであると。それは、過ぎ去ってしまうと手に入らない。良いことも悪いこともこの世界のものだけで、生きている間だけ経験できるもの。感情、人との関わり、喜怒哀楽、全てがこの世での特権、生きている証であるとひしひしと感じました。